骨粗しょう症は、骨の量が減ることで骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
加齢によるものも多いので、高齢者に多い病気です。
症状
骨粗しょう症はただ骨が弱くなり、骨折しやすくなるだけではありません。全身に様々な影響を及ぼします。
骨粗鬆症になると・・・
骨粗しょう症の代表的な症状には、以下が挙げられます。
- 背中や腰が痛くなる
- 背中や腰が丸くなる
- 身長が縮む
さらに症状が深刻化すると以下のようなことが引き起こされる恐れもあります。
- 内臓が弱くなる
- 寝たきり、要介護
しかし、多くの場合は自覚症状なく進行し、骨折しなければ骨粗しょう症であることに気づきません。
そのため、患者のうち約8割の人は骨粗しょう症の治療を受けておらず、治療率の低さが問題となっています。
ADL(日常生活動作)、QOL(人生、生活の質)の低下につながることも
骨粗しょう症になると、骨折を伴わずともその骨の弱さから背骨が曲がってきてしまいます。
そのため背中が曲がるなど姿勢が悪く身体への負担が大きくなります。
常に背中や腰が痛いと感じるようになり、それが理由で運動、活動量が低下し、結果としてどんどん身体が脆弱になってしまうのです。
骨粗しょう症による脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)
骨粗しょう症で最も問題となるのが『脆弱性骨折』とそれに伴う合併症です。
脆弱性骨折とは、わずかな外力で生じる骨折のことで、一般的には立った高さからの転倒を基準とし、それより弱い力で生じた骨折を脆弱性骨折と言います。
脆弱性骨折のうち、一番頻度が高いのが「背骨の骨折」です。
自分の体重に背骨が耐えきれなくなって、気づかないうちに背骨がつぶれて起こる骨折になります。
次に多いのが「太ももの付け根の骨折(大腿骨骨折だいたいこつこっせつ)」になります。
日常生活動作を最も悪化させる骨折で、手術も必要になります。
80歳を過ぎると圧倒的に多くなる骨折です。
脆弱性骨折が全身に及ぼす影響
脆弱性骨折は、全身に様々な影響を及ぼします。
骨粗しょう症の症状の背中の曲がりや背の縮みは、内臓を圧迫し、呼吸器機能や消化器機能を低下させます。
また、わが国の足の付け根の骨折の予後に関する報告では、骨折した方のうち、およそ10%強の患者が1年以内に死亡していくとしています。
骨粗鬆症による骨折を起こすと、骨折のリスクが骨折していない人に比べ高くなり、骨折を繰り返しやすくなります。
つまり、骨折を繰り返すたびに健康状態は悪化し、骨折を起こす前の状態に戻すことは難しくなるのです。
これが「骨粗しょう症が要介護や寝たきりの原因」とされる理由なのです。
原因
骨は常に新しく作りかえられていきます。その時の新しい骨の形成と、古い骨の壊されるバランスが崩れることが、骨粗しょう症の原因になります。
新しい骨があまり作られず、古い骨の分解だけが進んでいった結果、骨密度が低下し、骨の中がスカスカになってしまいます。
骨粗しょう症は女性、特に閉経後の女性に多くみられ、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。
治療
骨粗しょう症の治療は、骨密度の低下を抑え、骨折を防ぐことを目的とします。
お薬による骨密度の増加だけでなく、食生活の見直し、運動習慣の改善なども並行して行っていきます。
また、骨粗しょう症にならないよう予防することも大切です。
カルシウムを十分に取って丈夫な骨を作り、たんぱく質もしっかり摂りましょう。運動を程良くし、日光を浴びることも骨にはいいことです。
また、喫煙やアルコールは骨に悪影響ですので、控えるようにしていきましょう。